SalesforceとinvoiceAgent連携をGoogle Cloudで実現する電帳法対応

SalesforceをGoogle Cloud経由でinvoiceAgentと連携し、電子帳簿保存法に対応しました。

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社内事例

ご依頼の背景

SalesforceをGoogle Cloud経由でinvoiceAgentと連携し、電子帳簿保存法に対応しました。

社内システムであるSalesforceに登録されたファイルを、ウイングアーク1st社の電子帳票プラットフォーム「invoiceAgent」へ連携する機能を実装しました。Salesforceが持つファイルサイズの制限という技術的な課題を、Google Cloudを中継させるアーキテクチャで解決。お客様の既存業務フローを変更することなく、Salesforceを起点とした電子帳簿保存法対応のファイル保管を実現しました。また、invoiceAgentのライセンスを最小限に抑える構成により、コスト効率の高い運用を可能にしています。

抱えていた課題

  1. 01

    Salesforceの仕様によるファイルサイズの制限

    Salesforceには、Apex処理で6MB以上のファイルを直接扱うことができないという技術的な制限がありました。そのため、大容量のファイルをinvoiceAgentへ円滑に連携する仕組みを、いかにして構築するかが大きな課題となっていました。

  2. 02

    ファイル検索の効率性と利便性の確保

    invoiceAgent上で効率的にファイルを検索しようとすると、通常は帳票フォーマットごとに検索項目を設定する必要があり、運用負荷の観点から現実的ではありませんでした。Salesforceで管理している豊富な情報をいかに活用し、ユーザーの利便性を損なわずに検索性を担保するかが課題でした。

導入ソリューション

Google Cloudを中継した大容量ファイル連携アーキテクチャの構築

Salesforceのファイルサイズ制限を回避するため、ファイルのアップロード・ダウンロード処理を直接連携するのではなく、Google Cloud Platform上に構築したAPI(Cloud API Gateway, Cloud Functions)を経由する構成としました。ユーザーがSalesforceの画面からファイルをアップロードすると、そのリクエストをGCPが受け取り、ファイルの実体を責任持ってinvoiceAgentへ転送します。ダウンロード時も同様にGCPが仲介します。このアーキテクチャにより、ユーザーはSalesforceの制限を一切意識することなく、シームレスな大容量ファイルの連携が可能になりました。

Google CloudとSalesforce、invoiceAgentを連携した処理構成図

invoiceAgentカスタムプロパティの自動連携による検索性向上

invoiceAgentの検索性を最大化するため、Salesforceのレコードに紐づく各種情報を、invoiceAgentのカスタムプロパティ(検索用インデックス)へ自動で連携する機能を開発しました。ファイルがGCP経由でinvoiceAgentに登録される際、Salesforceから渡されたメタデータがカスタムプロパティとして設定されます。これにより、ユーザーは使い慣れたSalesforce上の管理項目を使って、invoiceAgentに保管されたファイルを容易に検索できるようになり、運用負荷を大幅に削減することに成功しました。

導入効果

Salesforceを業務の起点としつつ、Google Cloudの柔軟性を活かして法要件を満たすファイル管理体制を構築しました。

Salesforceの利便性を維持したまま、電子帳簿保存法の要件を満たすファイル保管基盤を確立しました。ライセンスコストを最適化し、将来の拡張性も確保したスケーラブルなシステムを構築することができました。

  1. 01

    電子帳簿保存法への対応

    Salesforceに登録された契約書や請求書といった国税関係書類を、電帳法に対応したinvoiceAgentに連携・保管することで、法改正への対応という重要な経営課題を解決しました。

  2. 02

    コストを最適化した運用

    ファイルの閲覧やダウンロードといった日常的な操作はSalesforceから行う構成のため、全ユーザー分のinvoiceAgentライセンスは不要です。これにより、ランニングコストを最小限に抑えつつ、必要な機能を実現しました。

  3. 03

    高い検索性と業務効率

    Salesforceで管理している情報が自動でinvoiceAgentの検索キーとして登録されるため、ユーザーは新たな操作を覚えることなく、必要なファイルを迅速に探し出すことができ、業務効率の向上に繋がりました。

担当者の声

エヌデーデー担当者からの声

一般的なファイル管理ではOneDriveやBox等のストレージサービスを利用することが多いですが、それだけでは電子帳簿保存法の要件を満たせません。今回はinvoiceAgentを採用することでこの課題をクリアしました。Salesforceの制限をGCPで回避するなど、複数のサービスを最適に組み合わせてソリューションを構築・実現できた点に、当社の技術力が表れていると自負しております。今回の開発で得たinvoiceAgentのWebAPIに関するノウハウは、同様の課題を抱えるお客様にも展開できる貴重な知見となりました。